越後の良寛さんは庶民から最も愛された禅僧のひとりである。
良寛の詩や書はそれに接する人を不思議と良い気持ちにさせる。
掌中の珠という言葉があるが、そうした純粋無垢なものが、
良寛の場合はまるごとその人そのものになっているのだ。
大愚と称した良寛は、そこに遊んだ。彼にはなにもない。
子どもが寄ってくれば彼らと遊ぶ。雨が降れば庵にこもる。
禅を組み、詩を作り、書を読む。求められれば筆をとる。
それが良寛の生活。
禅の世界で好まれた画題として唐の時代の風狂の詩人
寒山像がある。寒山は天台山岩窟中で遊んでいた。